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  3. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の検査と診断

びまんせい大細胞型だいさいぼうがたB細胞リンパ腫の検査と診断

  1. I.リンパ腫はどのように診断するのですか?

    リンパ腫だけでなく、がんをはじめとする病気が疑われる場合は、まず問診や触診、血液検査を行います。問診・触診ではリンパ節の腫れ、かたさなどを確認し1,2)、血液検査では血液細胞の数や臓器の機能などを調べます2)

  2. II.びまん性大細胞型B細胞リンパ腫はどのように診断するのですか?

    問診や触診、血液検査の結果からリンパ腫が疑われる場合、リンパ節の一部を切り取って(リンパ節生検)、「病理検査」や「染色体検査」、「細胞表面マーカー検査」などを行います。リンパ節の腫れやしこりの原因を詳しく調べることで、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の確定診断を行います1,2)
    びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、細胞表面マーカー検査において細胞の表面にCD19、CD20、CD79aという抗原(マーカー)がみられることが特徴として知られています3)

  3. III.治療方針はどのように決定するのですか?

    確定診断後、レントゲン・CT・内視鏡などの「画像検査」、「リンパ節生検」などによって、がんのタイプ(病型)や病気の広がり(病期)を確認します。また、それらの結果から患者さんの病気がどのような経過をたどるか、医学的な予測(予後よご)を行い、患者さんそれぞれに適した治療方針を検討します。

問診・触診

いつ頃からリンパ節が腫れているのか、痛みや倦怠感などの全身症状の有無を確認します。ウイルス感染が原因であることも考えられるため、現在治療中の疾患について聞かれることもあります3)
腫れの形やかたさ、場所、痛みがあるかどうか、などを触診します1,2)
年齢や全身状態も治療選択の要素となります3,4)

血液検査

血液細胞の数、肝機能、腎機能、ウイルス感染の有無、血液中のがん細胞の有無、C反応性タンパク(CRP)やアルブミンなどの数値を調べます2)
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では治療の経過を予測するため、血清LDHなどの数値も確認します3,4)

リンパ節生検

リンパ節の腫れの原因を調べるため、鎖骨の上や首(頸部)、わきの下、足の付け根の上あたり(鼠径部)など、なるべく患者さんの負担が少ない部位を選び、リンパ節を丸ごと、もしくは一部を採取します2,5)。採取したリンパ節は病理検査、細胞表面マーカー検査、染色体検査、遺伝子検査などに用います2)
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、細胞表面マーカー検査で細胞の表面にCD19、CD20、CD79aという抗原(マーカー)がみられることが知られています3)。また、遺伝子の発現や変異の状態によって、DLBCLの亜型(サブタイプ)を分類します4)

画像検査

リンパ節の病変の広がり(病期)を調べるために、レントゲン、CT、MRI、PET-CT(FDG-PET)、内視鏡などの画像検査を行います1,2)
FDG-PET検査はがん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用した検査で、放射性元素がついたブドウ糖類似物質を投与することで、がん細胞が集まっている場所を調べるものです1,2)
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、主にFDG-PETを用いて病期診断や治療効果の判定が行われます。また、消化管などに病変を生じることもあるため、必要に応じて内視鏡検査を行います3)

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫はいつ治療を開始しますか?

びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は月単位で進行するため、診断された時点で治療を開始します。病変の場所や広がり、進行の程度、症状、全身の状態などから判明した病期や、腫瘤しゅりゅうの大きさなどを考慮し、患者さんに合わせた治療が選択されます4)

予後とは何ですか?

病気がどのような経過をたどるかという見通しのことを「予後よご」といい、予後に影響を与える要素(因子)を「予後因子よごいんし」といいます6)。また、予後という言葉を「生存期間(どれくらい生きられるか)」に限定して使用されることもあります7)
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の患者さんでは「年齢」、「全身状態」、「血清LDH」、「病期」、「節外病変の数(骨髄、中枢神経、肝臓/消化管、肺)」などが予後因子とされています4)

治療や生活について心配なことがある場合、どうすればよいですか?

がんの診断を受けることは衝撃的なこと、不安でいっぱいだと思います。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は日本国内においてリンパ腫の中でも頻度の高い疾患のため4)、患者さんの状況に応じた様々な治療法が検討されています。
がん患者さんとご家族はさまざまなサポートを受けることができますので、わからないこと‧詳しく知りたいことがあれば担当医や看護師さんに相談してください。

[参考文献]

  1. 1)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP27-64
  2. 2)医療情報科学研究所、病気がみえる vol.5 血液 第3版、メディックメディア、2023、PP21-22、192-199、202-207
  3. 3)日本血液学会(編集)、血液専門医テキスト 改訂第4版、南江堂、2023、PP320-324
  4. 4)日本血液学会(編集)、造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)―悪性リンパ腫 総論
    http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/2_soron.html(別ウィンドウで開く))、
    びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
    http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/2_5.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  5. 5)国立がん研究センターがん情報サービス.がんに関する用語集ーリンパ節生検
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/lymph_setsuseiken.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  6. 6)伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-30
  7. 7)国立国語研究所.「病院の言葉」を分かりやすくする提案―予後
    https://www2.ninjal.ac.jp/byoin/teian/ruikeibetu/teiango/teiango-ruikei-a/yogo.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)

2025年3月掲載
JP-VEN-240030-2.0