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骨髄異形成症候群こつずいいけいせいしょうこうぐんとは

骨髄異形成症候群とはどのような病気ですか?

骨髄異形成症候群は、血液細胞のもとになる造血幹細胞の骨髄系幹細胞に異常が起きる病気ですが、病気の進み方や起きる症状などが患者さんによって異なり、ひとつの病気ではなく複数の病気からなる症候群(グループ)を指します1,2)

また、白血病と同様に異常な血液細胞(がん細胞)があらわれることから、白血病の前段階の状態と考えられています3-5)

「骨髄異形成症候群」は英語で「Myelodysplastic Syndromes」と表記されるため、「MDS(エムディーエス)」という略称で呼ばれることもあります。

国内で骨髄異形成症候群と診断される人は年間約6,000人で6)、年々増加傾向にあります7)。発症は中高年の方に多く、特に70歳以上で急激に増加します6,7)。また男女比は約2:1で、男性に多くみられます7)

骨髄異形成症候群を発症する原因は多くの場合不明とされていますが、造血幹細胞に異常(遺伝子変異いでんしへんい)が起こることで発症すると考えられ6,7)、患者さんの半数以上に染色体の異常がみられます1)

骨髄異形成症候群では、異常な造血幹細胞から生まれた「未熟な血液細胞」で成長が途中で止まったり、成長しても骨髄の中で壊れてしまったり(無効造血むこうぞうけつ)、細胞の形や機能に異常があったりします(異形成いけいせい5,8)。さらに、骨髄の中に異常な造血幹細胞が増殖することで正常な血液細胞をつくる機能が抑制され、血液内でも正常な血液細胞が減少してしまいます5)
骨髄異形成症候群は患者さんごとの病態に差があり、血液細胞のうち赤血球、血小板、白血球のすべてが減少する場合や、いずれかが減少する場合などがあります1,6,7)

memo造血幹細胞から生まれる未熟な血液細胞(血球)のことを、「芽球がきゅう」といいます5)
骨髄異形成症候群では、異常な造血幹細胞が異常な芽球をつくり、成熟した血球に成長することができません5)
そのため、診断では骨髄中の異常な血液細胞の有無や芽球の割合を調べる検査をします1)

骨髄系の血液がんには、骨髄異形成症候群のほかにも、慢性骨髄性白血病まんせいこつずいせいはっけつびょう急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうなどがあります7)。骨髄異形成症候群の異常な造血幹細胞にさらに遺伝子の異常が加わると、「白血病化はっけつびょうか」し、急性骨髄性白血病へと移行することがあります7)

memo異常な造血幹細胞にさらに遺伝子の異常が加わって増殖すると、異常な芽球が増えていきます。
とくに成長機能(細胞の分化機能)を持たない芽球(=白血病細胞)が増えていくと、骨髄異形成症候群は「急性骨髄性白血病」へと移行してしまいます。これを「白血病化」といいます5)

骨髄異形成症候群ではどのような症状があらわれますか?

骨髄異形成症候群を発症すると、赤血球減少による貧血(息切れ、動悸、疲れやすい)、血小板減少による出血(鼻血、歯ぐきからの出血、皮膚の点状出血)などの症状が出ることがあります5,6)。また、白血球減少によって感染症にかかりやすくなり発熱することもあります5,6)。からだの免疫システムがくずれることで、皮膚などに炎症(スウィート病、ベーチェット病など)が合併症として起きることもあります6,7)
ただし、それらのような症状がでないこと(無症状)も多く、健康診断などで血液異常を指摘され診断に至る場合もあります7)

病型とは何ですか?

病気をさらに細かく分類した「がんのタイプ」を「病型びょうけい」といいます9)
骨髄異形成症候群が疑われる患者さんには、血液検査や骨髄検査を行い、骨髄の中の血液細胞の数や状態によって、骨髄異形成症候群のうちどの病型に属するかを調べます。同じ病型であっても、患者さんによって病気の見通し(予後よご)が異なるため、病型診断に加えて予後に関わる要素(染色体異常の種類や数など)を検査して、治療方針を検討します7)

骨髄異形成症候群における病型分類のポイント:WHO分類

  • 血球減少(血液細胞の減少の程度)
  • 末梢血と骨髄の芽球割合(血管と骨髄の中に、異常な血液細胞がどれくらいあるか)
  • 造血細胞の異形成(血液細胞の形や機能の異常)
  • 染色体異常

日本血液学会(編集)、造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)-骨髄異形成症候群
https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_6.html(別ウィンドウで開く))(2026年3月10日利用)を基に作成

骨髄異形成症候群とよく似た病気

骨髄系の血液細胞ががん化する病気のことを「骨髄系腫瘍こつずいけいしゅよう」といい、骨髄異形成症候群もこの病気のひとつです。骨髄異形成症候群とよく似た病気に「骨髄増殖性腫瘍こつずいぞうしょくせいしゅよう」や「急性骨髄性白血病」、「再生不良性貧血さいせいふりょうせいひんけつ」などがあります5,6)。骨髄増殖性腫瘍は「慢性骨髄性白血病」を含む複数の病気のグループ名です。

いずれも血液細胞の形や機能に異常がみられますが、骨髄異形成症候群や再生不良性貧血では正常な血液細胞の減少が、骨髄増殖性腫瘍や急性骨髄性白血病では異常な血液細胞の増加が主病態となるなどの違いがあります4-6)

また、骨髄異形成症候群の異常な造血幹細胞にさらに遺伝子の異常が加わると、「白血病化」し、急性骨髄性白血病へと移行することがあります7)

[参考文献]

  1. 1)日本血液学会(編集)、造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)-骨髄異形成症候群
    https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_6.html(別ウィンドウで開く))(2026年3月10日利用)
  2. 2)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP92-95
  3. 3)永井 正、図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫、法研、2016、PP96-109
  4. 4)松村 到、他(編集)、血液疾患最新の治療2023-2025、南江堂、PP99-102、111-114、130-140
  5. 5)医療情報科学研究所(編集)、病気がみえる vol.5 血液 第3版、メディックメディア、2023、PP2-13、72-79、148-151、164-171
  6. 6)骨髄異形成症候群の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ(編集)、骨髄異形成症候群診療の参照ガイド令和4年版改訂版、2023、PP1-39
  7. 7)日本血液学会(編集)、血液専門医テキスト 改訂第4版、南江堂、2023、PP256-266
  8. 8)国立がん研究センターがん情報サービス. 骨髄異形成症候群
    https://ganjoho.jp/public/cancer/MDS/index.html(別ウィンドウで開く))(2026年3月10日利用)
  9. 9)伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-30

2026年5月掲載
JP-VEN-240030-5.0