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骨髄異形成症候群こつずいいけいせいしょうこうぐんの治療法

骨髄異形成症候群を含むがんの治療では、患者さんの状態に最適な治療方法を担当医と相談しながら決定していきます。
骨髄異形成症候群では、患者さんの「危険度(リスク)」にかかわらず、すべての患者さんに定期的に受診いただき、社会的生活への支援などが行われます1)

低リスクで症状のある患者さんではどのような治療が行われますか?

低リスクで、症状のない患者さんには積極的な治療は行われず、経過観察となります1)。ただし、血液細胞(赤血球、血小板、白血球)の減少による症状がある場合には、血液細胞減少の改善を第一の目標として治療を開始します1)
不足している血球(赤血球、血小板)の輸血や感染症対策を行うほか、造血機能の回復や症状改善を目的としたサイトカイン療法や免疫抑制療法めんえきよくせいりょうほうが考慮されます1)。また、貧血のある患者さんではステロイドやビタミン製剤を検討することがあります1),※
病気の見通しが難しい患者さんでは脱メチル化薬、特定の染色体に異常がある患者さんでは免疫調節薬による治療が検討されます1)

骨髄異形成症候群に対する治療法として国内では承認されていません。

低リスクで症状のある患者さんに行われる主な治療法

輸血療法

血液細胞の減少が進行する患者さんでは、症状を軽くするための治療として輸血が行われます2)
貧血に対しては赤血球輸血、血小板減少に対しては血小板輸血を行います1)

サイトカイン療法

サイトカインとは細胞の増殖・成長(分化)や炎症反応などに関わるタンパク質であり、サイトカイン療法では血液細胞の産生を促す薬剤が使用されます3)
赤血球、白血球(顆粒球)、血小板とそれぞれに対応した薬剤があり、患者さんの状態や病型によって薬剤が選択されます1)

免疫抑制薬

骨髄異形成症候群では、免疫細胞によって血液細胞が減少することがあると考えられ、免疫の働きを抑えるために免疫抑制薬の使用が考慮されます3),※

免疫調節薬

5番目の染色体長腕部分が欠失している染色体異常「5q欠失」をもつ患者さん(「5q-症候群」といいます)に、貧血に対して免疫調節薬が考慮されることがあります1)

脱メチル化薬

脱メチル化薬は、骨髄異形成症候群にみられるDNAの異常(メチル化)を阻害することで、がんを抑制する「がん抑制遺伝子」の産生を活性化させます4)
低リスクの患者さんでは、病気の見通しが難しい場合に使用されることがあります1)

骨髄異形成症候群に対する免疫抑制療法は、国内で承認されていません。

高リスクの患者さんではどのような治療が行われますか?

高リスクの患者さんは病気の見通しが難しく、「急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょう(AML)」に移行する可能性が高くなるため、積極的な治療を行います1)
年齢や併存する病気、ドナーなどの条件が合う場合には、「同種造血幹細胞移植どうしゅぞうけつかんさいぼういしょく」を積極的に考慮します1)。同種造血幹細胞移植が行えない場合には、抗腫瘍効果こうしゅようこうかのある「脱メチル化薬」が選択されます1)。脱メチル化薬を使えない高リスクの患者さんには、免疫調節薬や急性骨髄性白血病治療に準じた薬物療法が考慮されることがあります1)

高リスクの患者さんに行われる主な治療法

造血幹細胞移植

ドナーから提供された造血幹細胞を移植(同種造血幹細胞移植)します1,5)
低リスクの患者さんでも、高リスクへと進行した際には移植が検討されます1)

脱メチル化薬

脱メチル化薬は、骨髄異形成症候群にみられるDNAの異常(メチル化)を阻害することによって、がんを抑制する「がん抑制遺伝子」の産生を活性化させます4)

化学療法

殺細胞性の薬(抗がん剤)はがん細胞の分裂、DNA合成を阻害することで増殖を抑制します4,6)。骨髄異形成症候群では、同種造血幹細胞移植を行わない高リスクの患者さんや、脱メチル化薬が使用できない場合や造血幹細胞移植を行う前に化学療法が考慮されます1)

免疫調節薬

5番目の染色体長腕部分が欠失している染色体異常「5q欠失」をもつ患者さんで、脱メチル化薬が使えない場合に考慮されることがあります1)

骨髄異形成症候群の治療ではどのような副作用がありますか?

がん治療では行われる治療によって、さまざまな副作用が起こる可能性があります。自覚症状のあるもの、ご自身では気づかないものなどがあり、副作用を確認するために注意深い観察が行われます。
起こりうる副作用に対する予防や、発生した副作用に対する治療(支持療法)がありますので、治療を受けて気になる症状などが起きた場合は医師や看護師に相談してください。

輸血療法

一定量以上の赤血球輸血によって鉄過剰てつかじょう状態になってしまう場合があります。その際は「鉄キレート療法」を行い、体内から過剰な鉄を排出させます1)

サイトカイン療法

サイトカイン療法はお薬によって作用する血液細胞が異なるため、発生する副作用は薬剤によって異なります。
発熱や倦怠感、血栓症などが起こる場合があります6,7)

免疫抑制薬・免疫調節薬

免疫の働きを抑制するため、感染症にかかりやすくなるなどの副作用があります8)
お薬によっては女性への投与を控えることがあります3,9)

造血幹細胞移植

造血幹細胞移植では前処置として抗がん剤などを用いるため、使用するお薬に応じて様々な副作用があらわれる場合があります。また、移植後も感染症が起こりやすいので注意が必要です。同種造血幹細胞移植の場合、ドナーの細胞が患者さんの身体を攻撃する移植片対宿主病(GVHD)や、移植後3ヵ月以上経過してからも不整脈や心不全、甲状腺機能低下、骨粗鬆症などさまざまな合併症があらわれる場合があります5)

脱メチル化薬

脱メチル化薬は、使用する量によって抗がん剤のように攻撃する作用を発揮します6)
主な副作用として骨髄抑制や腎機能障害などがあらわれる場合があります9)

化学療法

抗がん剤はDNA合成を阻害する作用を持ち、細胞の分裂に影響を与えるため、がん細胞だけではなく正常な細胞にも影響を及ぼします10)
化学療法の副作用にはさまざまな種類があり、自覚症状を伴う吐き気・嘔吐など、自覚症状を伴わない骨髄抑制(好中球減少、血小板減少)などがあらわれる場合があります8)

副作用に関しては、副作用の対処法のページもご参照ください。

[参考文献]

  1. 1)⽇本⾎液学会(編集)、造⾎器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)-骨髄異形成症候群
    https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_6.html(別ウィンドウで開く))(2026年3月10日利用)
  2. 2)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP92-95
  3. 3)永井 正、図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫、法研、2016、PP96-109
  4. 4)医療情報科学研究所(編集)、病気がみえる vol.5 血液 第3版、メディックメディア、2023、PP2-13、164ー169
  5. 5)国立がん研究センターがん情報サービス.造血幹細胞移植
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/HSCT/index.html(別ウィンドウで開く))(2026年3月10日利用)
  6. 6)日本血液学会(編集)、血液専門医テキスト 改訂第4版、南江堂、2023、PP108-114、256-266、499-501
  7. 7)松村 到、他(編集)、血液疾患最新の治療2023-2025、南江堂、2022、PP56-59
  8. 8)国立がん研究センター がん対策研究所(編集)、国立がん研究センターのがんになったら手にとるガイド、小学館クリエイティブ、2025、PP70-73、90-93
  9. 9)骨髄異形成症候群の診断基準と診療の参照ガイド改訂版作成のためのワーキンググループ(編集)、骨髄異形成症候群診療の参照ガイド令和4年版改訂版、2023、PP52-63
  10. 10)吉村 知哲、 田村 和夫(監修)、がん薬物療法副作用管理マニュアル 第3版、医学書院、2024、PP1-6

2026年5月掲載
JP-VEN-240030-5.0