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リンパ腫とは

リンパ腫はどのような症状があらわれますか?

リンパ腫は、種類によってあらわれる症状が異なります。初期は⾃覚症状があらわれない種類もあり、健康診断で偶然⾒つかることもあります。もし、発熱や疲れが続いたり、原因の分からない体調不良が続いていると思ったら、かかりつけ医を受診してください1-3)

リンパ腫の主な症状

発熱、感染症

血液がんでは、がん細胞が増殖することで正常な血液細胞の割合が減少します。なかでも白血球の数が減ると病原体への抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなることがあります2-4)
リンパ腫では、発熱のほかに体重が減少したり、大量の寝汗をかくことがあります。

息切れ、疲労、貧血

全身に酸素を運ぶ赤血球の数が減ることで、ちょっとした動作で息切れを起こしたり、疲れやすくなることがあります2,3,5)

リンパ節や臓器の腫れ

がん細胞が臓器やリンパ節に入り込むことで、腫れやしこりができ、圧迫感・痛み・しびれを感じることがあります。また、がん細胞が入り込む臓器によって、頭痛や吐き気、関節の痛みなどさまざまな症状がみられます2,3)
疾患によって異なりますが、主にリンパ節や肝臓、脾臓などで認められます1,2)

出血

血液を固めて止血する役割を持つ血小板の数が減ることで、出血しやすくなることがあります。鼻血、歯ぐきからの出血や、強くぶつけていないのにあざができやすくなることがあります2,3,6)

リンパ腫にはどのような種類がありますか?

⾎液がんは、がん細胞になる血液細胞の種類(⾻髄系、リンパ系)、分化‧成熟の過程のどの段階であるか、発症する⾝体の部位、進行する速度によって病名がつけられます1,2)
白血球の⼀種であるリンパ球ががん細胞となって増殖する病気を「リンパ腫」といいます1,2)
リンパ球には「B細胞」、「T細胞」、「NK細胞」という3つの種類があり1,7)、リンパ腫はがん細胞となったリンパ球の種類によって「B細胞リンパ腫」または「T細胞リンパ腫/NK細胞リンパ腫」に分類されます1,2)

リンパ球の種類
白血球の一種であるリンパ球にはB細胞、T細胞、NK細胞という3つの種類があります。B細胞はウイルスや細菌などを攻撃する抗体をつくります。T細胞はウイルスや細菌を攻撃したり、ほかのリンパ球の機能をサポートします。NK細胞はがん細胞やウイルスに感染した細胞を攻撃します。

伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-30
奈良信雄(監修)、ぜんぶわかる血液・免疫の辞典、成美堂出版、2018、PP41-43より作図

リンパ腫は増殖したリンパ球の特徴によって「ホジキンリンパ腫」と「⾮ホジキンリンパ腫」に分けられ、⾮ホジキンリンパ腫はリンパ球の種類から「B細胞リンパ腫」と「T細胞リンパ種/NK細胞リンパ腫」に分類されます1-3)
国内のリンパ腫のうち、⾮ホジキンリンパ腫の割合は90%以上を占めています8)

代表的なリンパ腫
リンパ腫では、がん細胞になったリンパ球の特徴によってホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に分けられます。ホジキン細胞などの特徴的な細胞がみられるものをホジキンリンパ腫、特徴がみられないものを非ホジキンリンパ腫といいます。日本ではリンパ腫のうち、90%以上が非ホジキンリンパ腫です。また、リンパ球の種類によってB細胞リンパ腫、またはT細胞リンパ腫/NK細胞リンパ腫に分類されます。

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ホジキンリンパ腫では、「ホジキン細胞」や「RS細胞」といった特徴的な細胞がみられます。
それらの細胞がみられなかった場合、「非ホジキンリンパ腫」に分類されます。

木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP27-64
国立がん研究センターがん情報サービス. 濾胞性リンパ腫
https://ganjoho.jp/public/cancer/follicular_lymphoma/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)より作表

リンパ腫はどのように診断しますか?

⾎液の病気を疑って病院を訪れる⼈は少ないかもしれませんが、かかりつけ医での問診と⾎液検査で⾎液がんが疑われた場合は、⾎液がん専⾨の診療科(⾎液内科)を紹介してもらえます1)
問診や触診、⾎液検査の結果からリンパ腫が疑われる場合、リンパ節の⼀部を切り取って(リンパ節⽣検)、リンパ節の腫れやしこりの原因を詳しく調べることで、確定診断を⾏います3,9)
確定診断後、レントゲンやCTなどの「画像検査」、「⾻髄検査(⾻髄穿刺‧⾻髄⽣検)」などによって、がんのタイプ(病型)や病気の広がり(病期)を確認し、治療⽅針を検討します1-3)

問診・触診

いつ頃からリンパ節が腫れているのか、痛みや倦怠感などの全身症状の有無を確認します。特定の地域によるウイルス感染が原因であることも考えられるため、出生地を聞かれることもあります。
腫れの形やかたさ、場所、痛みがあるかどうかなどを触診します3,9)

血液検査

血液細胞の数、肝機能、腎機能、ウイルス感染の有無、血液中のがん細胞の有無、C反応性タンパク(CRP)やアルブミンなどの数値を調べます9)

リンパ節生検

リンパ節の腫れの原因を調べるため、鎖骨の上や首(頸部)、わきの下、足の付け根の上あたり(鼠径部)など、なるべく患者さんの負担が少ない部位を選び、リンパ節を丸ごと、もしくは一部を採取します9,10)。採取したリンパ節は病理検査、細胞表面マーカー検査、染色体検査、遺伝子検査などに用います9)

画像検査

リンパ節の病変の広がり(病期)を調べるために、レントゲン、CT、MRI、PET-CT(FDG-PET)などの画像検査を行います3,9)
FDG-PET検査はがん細胞がブドウ糖を多く取り込む性質を利用した検査で、放射性元素がついたブドウ糖類似物質を投与することで、がん細胞が集まっている場所を調べるものです3,9)

骨髄検査

がん化したリンパ球が骨髄へ入り込んでいないか(骨髄浸潤)を確認するため、骨髄の検査を行うことがあります3,9)
骨髄穿刺では骨髄に針を刺し、骨髄液を吸引します。骨髄生検では、やや太い針で骨髄組織の一部を採取します9)

リンパ腫はどのような治療を行いますか?

リンパ腫では薬物療法での治療が基本です。薬物療法には、「化学療法」「分⼦標的療法」などの種類があります3,11)
患者さんの状態に最適な治療⽅法を担当医と⼀緒に相談しながら決定していきます。

化学療法

細胞障害性(殺細胞性)抗がん薬によって、がん細胞の増殖を抑える治療法です。がん細胞だけでなく、正常細胞にも影響を及ぼすことがあります1-3)

分子標的療法

がん細胞がもつ特有の分子(タンパク質や酵素)に作用してがん細胞の増殖を抑える治療法です。薬の種類によって、使用可能な病型(タイプ)や条件があります1-3)

造血幹細胞移植

自己複製という造血幹細胞の能力に着目し、患者さん自身またはドナー(提供者)の造血幹細胞を移植する治療法です。患者さん自身の造血幹細胞を移植することを「自家移植じかいしょく」、ドナーの造血幹細胞を移植することを「同種移植どうしゅいしょく」といいます1-3)

放射線療法

高いエネルギーのX線を体の外から体内のがんのある部位へ照射して、がん細胞の根絶を目指します。血液がんによる症状の緩和目的に使用されることもあります1-3)

リンパ腫は種類によって治療法が異なります。詳しくは以下のページを参照ください。

[参考文献]

  1. 1)伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫‧白血病‧多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-52
  2. 2)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫‧白血病‧多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP22-64
  3. 3)神田善伸(監修)、ウルトラ図解血液がん、法研、2020、PP11-98、115-136
  4. 4)国立がん研究センターがん情報サービス.感染しやすい・白血球減少
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/FN/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  5. 5)国立がん研究センターがん情報サービス.貧血
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/anemia/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  6. 6)国立がん研究センターがん情報サービス.出血しやすい・血小板減少
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/thrombocytopenia/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  7. 7)奈良信雄(監修)、ぜんぶわかる血液‧免疫の事典、成美堂出版、2018、PP42-43
  8. 8)Chihara D, et al: Br J Haematol 164, 4: 536-545(2014)
  9. 9)医療情報科学研究所、病気がみえる vol. 5 血液 第3版、メディックメディア、2023、PP192-207
  10. 10)国立がん研究センターがん情報サービス.がんに関する用語集―リンパ節生検.
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/lymph_setsuseiken.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  11. 11)国立がん研究センターがん対策情報センター. がんになったら手にとるガイド 普及新版、学研メディカル秀潤社、2017、PP13-94、119-200

2025年3月掲載
JP-VEN-240030-2.0