急性骨髄性白血病はどのように治療方針を決めるのですか?
骨髄の中の白血病細胞が5%未満まで減少し、血液検査で白血病細胞が検出されず、白血球・赤血球・血小板の数が正常範囲になることを「完全寛解」といいます1,4,5)。完全寛解を目指した「寛解導入療法」によって寛解が得られた後、さらにその寛解の状態を強固にするために「寛解後療法」(「地固め療法」ともいいます)を行います4,5)。
標準的な化学療法を受けた65歳未満の患者さんでは、70~80%の方が完全寛解を得られるといわれています6)。ただし、強力な化学療法は副作用も強く、その治療に耐えられるかを、患者さんの年齢や臓器機能(心機能、肺機能、肝機能、腎機能)、感染症の有無などによって慎重に判断します6)。
また、治療方針を決定する際には「年齢」、「全身状態」、「感染症等の合併症の存在」という患者さん側の因子と、「染色体核型」、「遺伝子異常(変異)」、「細胞形態」などの白血病細胞側の因子を参考にして、「病気の見通し(予後)」を予測することが重要です。寛解までに要した治療回数も長期的な予後に関連します6)。
こうした予後層別化因子によって、患者さんを良好群・中間群・不良群の3つに大別します4,6)。
memo完全寛解(complete remission)とは、骨髄での血液をつくる能力(造血能)が回復し、異常検査所見や白血病による症状が消失した状態です2)
白血病細胞を顕微鏡で検出できない状態まで減らす「形態学的完全寛解」と、PCR法という遺伝子検査でも検出できないまでに減らす「分子生物学的完全寛解」とがあります。寛解導入療法では、まず形態学的完全寛解を目指します2)。