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急性骨髄性白血病きゅうせいこつずいせいはっけつびょうとは

急性骨髄性白血病とはどのような病気ですか?

⽩⾎病は血液細胞の元となる造⾎幹細胞ががん化することで、⾻髄のなかで異常な⾎液細胞が増殖します。白血病細胞となる細胞の種類(骨髄系またはリンパ系)や白血病細胞が増える速度(急性または慢性)によって白血病の種類は大きく4つに分けられます1-3)

「急性骨髄性白血病」は英語で「Acute Myeloid Leukemia」と表記されるため、「AML(エーエムエル)」という略称で呼ばれることもあります。
国内で白血病と診断される人は年間約14,600人(男性8,600人、女性6,000人)で比較的男性に多く、年々増加傾向にあります4,5)。急性骨髄性白血病の患者さんは白血病の約60%といわれており、約8,800人と考えられます2,4,5)。小児や若年の方にも発症しますが、40歳以上の方に多く発症し、発症年齢中央値は約60歳です4)

急性骨髄性白血病は、骨髄の中にある造血幹細胞が、血液細胞へと成長(細胞の分化と成熟)していく途中でがん化し、未熟なままの異常な白血病細胞(「芽球」ともいいます)がどんどん増えていく病気です1,2)。血液細胞の増殖や分化に関係する遺伝子に異常が起こり、異常が蓄積されることで発症すると考えられています4)
同じ骨髄系の白血病といっても、急性骨髄性白血病と慢性骨髄性白血病は病態や治療法が異なり、違う病気として扱われます2)。急性骨髄性白血病は、白血病細胞が急速に増えて、正常な血液細胞をつくる場所を占領してしまいます。週単位、月単位で急激に進行するため、診断後ただちに治療を開始する必要があります1,2)

急性骨髄性白血病ではどのような症状があらわれますか?

急性骨髄性白血病を発症すると骨髄で正常な血液細胞がつくられなくなるため、血液中の赤血球、白血球、血小板の数が減少してしまいます6)。赤血球が減少すると動悸・息切れ・立ちくらみなどの貧血症状、白血球が減少すると肺炎などの感染症、血小板が減少すると鼻血や歯肉出血、皮下出血などの出血傾向があらわれます2,4,6)。初発の症状としては貧血症状が最も多く、発熱、出血傾向の頻度も高いといわれています4)
また、白血病細胞が血流に乗って全身に広がり、いろいろな臓器に侵入(浸潤しんじゅん)すると、腹痛やお腹が張るなど圧迫症状、発熱や関節痛、全身のだるさ(倦怠感)などが生じます2,4)

急性骨髄性白血病の主な症状

造血障害
赤血球の減少
  • 貧血
  • 動悸
  • 息切れ
  • 立ちくらみ
白血球の減少
  • 感染症(肺炎など)
  • 発熱
  • 全身倦怠感
血小板の減少
  • 出血傾向
    (鼻血、歯肉出血、皮下出血)
臓器浸潤
中枢神経症状
  • 精神症状
  • 頭痛
  • 嘔吐
  • 麻痺など

リンパ節腫脹、歯肉腫脹、肝脾腫
  • 圧迫症状
  • 機能異常

木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP65-108、
神田善伸(監修)、ウルトラ図解 血液がん、法研、PP45-75より作成

急性骨髄性白血病の病型とは何ですか?

「病型」とは、病気をさらに細かく分類した「がんのタイプ」のことです1)。細胞が成長していく過程のどの段階でがん(白血病細胞)になったのかによって、さまざまなタイプに分かれます1)。特定の遺伝子異常の有無により、使用する薬や治療の進め方が変わることもあります1)

急性骨髄性白血病の病型分類は、染色体や遺伝子の異常などで分類する「WHO分類」や、白血病細胞のかたち(形態)によって分類する「FAB(French-American-British)分類」が用いられています4,6)
WHO分類では、急性骨髄性白血病は骨髄の中の白血病細胞の比率が20%以上と定義されています4)。また、FAB分類では、急性骨髄性白血病は増殖している白血病細胞の種類(どの段階でがんになったのか)によってM0~M7の8種類に分けられています4)
そのほか、「染色体核型せんしょくたいかくがた」と「遺伝子異常(変異)」の情報を組み合わせて、病気の見通し(予後)や薬剤の選択、また薬剤がどれくらい効くかを予測する指標として役立てられています4)

[参考文献]

  1. 1)伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP53-70
  2. 2)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP65-108
  3. 3)神田善伸(監修)、ウルトラ図解 血液がん、法研、2020、PP11-76
  4. 4)日本血液学会(編集)、血液専門医テキスト 改訂第4版、南江堂、2023、PP267-279
  5. 5)がん研究振興財団. がんの統計2024、2024、P65
  6. 6)宮崎 仁、もっと知りたい 白血病治療 第2版、医学書院、2019、PP19-28

2025年3月掲載
JP-VEN-240030-2.0