支持療法とはなんですか?
起こりうる副作用に対する予防や、発生した副作用に対する治療のことを「支持療法」といいます3,4)。がんの治療薬によって、患者さんの生活の質(QOL)が著しく下がることを防ぐ目的があります。また、副作用による症状を軽減させ、がんの治療を継続することを目指しています3,4)。
主な副作用と対策
吐き気・嘔吐
制吐薬を使用して吐き気・嘔吐を予防します。
吐き気があるときは、身体を締めつける衣服は避けるとよいです。
吐き気・嘔吐が続いて食事や水分がとれない場合は、点滴による栄養・水分補給を行うことがあります4,5)。
疲労・倦怠感
倦怠感そのものではなく、だるさの原因となりうる症状(痛み、貧血、不安、不眠など)の治療を行います。
体調が許す範囲での散歩やマッサージなども有効といわれています4,6)。
食欲不振
投薬スケジュールに合わせて食事や日常生活の工夫や、食べられそうなときに、食べたいものを少しずつ口にするなどの工夫をします。不安や抑うつが原因と判断される場合には、患者さんの症状に合わせた薬が処方されることもあります7)。
下痢
原因をみつけるために問診や検査を行い、腸への刺激を抑える薬や整腸薬などを用いて、症状をやわらげます。
また、腹部をあたため安静にし、胃腸への負担が少ない食品をとるようにしましょう8)。
口内炎・口内乾燥
水やうがい薬で口をすすぎ、うるおいと清潔さを保ちましょう。
痛みがある場合には、痛み止めの薬を使う場合もあります9)。
骨髄抑制(好中球減少症、血小板減少症)
血液がんでは、がんの症状や治療によって白血球(好中球)、血小板などの正常な血液細胞数が減少することがあります。それらの細胞数が回復するまで薬をお休みしたり、治療で使う薬の量を減らすことがあります。
免疫力低下による感染症を予防するため、あらかじめ抗菌薬や抗真菌薬を使うことがあります。また、骨髄抑制のリスクが高い時には、好中球を増やす薬を使うこともあります10)。
血小板減少が生じたときには、日常生活の中で出血しないように心がけることが大切です。血液検査の結果によって、血小板の輸血を行うことがあります11)。