1. TOPページ
  2. 血液がん全般:副作用の対処法

副作用の対処法

副作用とはなんですか?

がん薬物療法に使われる薬は、全身の臓器に影響するため、さまざまな副作用が起こる可能性があります。吐き気や食欲不振、口内炎など自覚症状のある副作用と、自覚症状がなく、検査をしてはじめてわかる副作用があり、骨髄の機能が抑制されることによる好中球減少や血小板減少などはご自身では気づかないこともあります1-3)
副作用の種類と発現時期は、使用している薬や投与の方法によって異なりますが、吐き気・嘔吐、食欲不振や倦怠感(疲れやだるさを感じる)などは比較的早い段階(投与後数日以内)にあらわれることが多いといわれています。投与直後のアレルギー反応や輸注反応(インフュージョン・リアクション;発熱やかゆみなど)にも注意が必要です。脱毛は投与後2週間後くらいからあらわれることが多いといわれています1-4)

抗がん剤の代表的な副作用と主な発現時期
抗がん剤は正常な臓器にも影響するため、副作用というさまざまな症状が起きることがあります。お薬の種類によって副作用の種類や、起きる時期が異なります。投与直後にあらわれる副作用としてアレルギー反応や発熱、悪心・嘔吐などがあります。投与後1週目では倦怠感、食欲不振などが起きることがあります。2週目には口内炎や下痢、血液の細胞が減少する骨髄抑制などがみられます。副作用は投与から数ヵ月後、数年後に起きることもあります。

画像は横にスクロールできます

松尾宏一、抗がん薬の副作用、がん薬物療法副作用管理マニュアル 第3版、医学書院、2024、PP1-6
〔勝屋弘雄、他: 日臨 73(増刊号 2): 39-44 (2015)〕

支持療法とはなんですか?

起こりうる副作用に対する予防や、発生した副作用に対する治療のことを「支持療法しじりょうほう」といいます3,4)。がんの治療薬によって、患者さんの生活の質(QOL)が著しく下がることを防ぐ目的があります。また、副作用による症状を軽減させ、がんの治療を継続することを目指しています3,4)

主な副作用と対策

吐き気・嘔吐

制吐薬せいとやくを使用して吐き気・嘔吐を予防します。
吐き気があるときは、身体を締めつける衣服は避けるとよいです。
吐き気・嘔吐が続いて食事や水分がとれない場合は、点滴による栄養・水分補給を行うことがあります4,5)

疲労・倦怠感

倦怠感そのものではなく、だるさの原因となりうる症状(痛み、貧血、不安、不眠など)の治療を行います。
体調が許す範囲での散歩やマッサージなども有効といわれています4,6)

食欲不振

投薬スケジュールに合わせて食事や日常生活の工夫や、食べられそうなときに、食べたいものを少しずつ口にするなどの工夫をします。不安や抑うつが原因と判断される場合には、患者さんの症状に合わせた薬が処方されることもあります7)

下痢

原因をみつけるために問診や検査を行い、腸への刺激を抑える薬や整腸薬などを用いて、症状をやわらげます。
また、腹部をあたため安静にし、胃腸への負担が少ない食品をとるようにしましょう8)

口内炎・口内乾燥

水やうがい薬で口をすすぎ、うるおいと清潔さを保ちましょう。
痛みがある場合には、痛み止めの薬を使う場合もあります9)

骨髄抑制(好中球減少症、血小板減少症)

血液がんでは、がんの症状や治療によって白血球(好中球)、血小板などの正常な血液細胞数が減少することがあります。それらの細胞数が回復するまで薬をお休みしたり、治療で使う薬の量を減らすことがあります。
免疫力低下による感染症を予防するため、あらかじめ抗菌薬や抗真菌薬を使うことがあります。また、骨髄抑制のリスクが高い時には、好中球を増やす薬を使うこともあります10)
血小板減少が生じたときには、日常生活の中で出血しないように心がけることが大切です。血液検査の結果によって、血小板の輸血を行うことがあります11)

[参考文献]

  1. 1)伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP83-98
  2. 2)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP27-108
  3. 3)宮崎 仁、もっと知りたい 白血病治療 第2版、医学書院、2019、PP51-59
  4. 4)国立がん研究センター がん対策情報センター.患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版、学研メディカル秀潤社、2017、PP119-178
  5. 5)国立がん研究センターがん情報サービス.吐き気・嘔吐
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/nausea/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  6. 6)国立がん研究センターがん情報サービス.だるさ・倦怠感
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/fatigue/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  7. 7)国立がん研究センターがん情報サービス.食欲がない・食欲不振
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/anorexia/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  8. 8)国立がん研究センターがん情報サービス.下痢
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/diarrhea/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  9. 9)国立がん研究センターがん情報サービス.口内炎・口内の乾燥
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/stomatitis/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  10. 10)国立がん研究センターがん情報サービス.感染しやすい・白血球減少
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/FN/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  11. 11)国立がん研究センターがん情報サービス.出血しやすい・血小板減少 もっと詳しく
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/thrombocytopenia/ld01.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)

2025年3月掲載
JP-VEN-240030-2.0