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  2. 血液がん全般:治療を始める前の準備

治療を始める前の準備

治療方針はどのように決まりますか?

「どのようなお薬を用いて治療を行うか」などの治療方針は、詳細な検査を行い、血液がんの病型(タイプ)、病期、悪性度が判明したのち、患者さんの全身状態や生活を考慮したうえで検討します1,2)
ご自身のがんのタイプでは、どの治療法が標準的に行われているのか、どのような効果が期待できるのか、治療のデメリットはあるかなど、担当の先生に納得するまで尋ねてください。提示された治療法についてよく理解し、ご自身がこれからの人生や生活で何を大切にしたいのかを担当医と話し合うことが大切です2,3)
また、別の医師の意見(セカンドオピニオン)を聞いてみたい場合には、その旨を担当医に伝えましょう。担当医が気を悪くするのではないかという心配はいりません。医師に質問したいけれど、うまく言い出せない場合には、看護師や「がん相談支援センター」に相談してみてください2,3)

質問事項をメモにしていくと、受診時に簡潔に質問することができます2)
患者さん・ご家族がよくされる質問や、医師に質問する時の例文について、国立がん研究センターがん情報サービス(別ウィンドウで開く)で紹介されています。

治療が始まる時や入院する時には、何を準備すればよいですか?

  • 確かな情報を入手することを心がけましょう

    インターネットには病気や治療法の情報があふれていますが、誤った情報も散見されます。インターネットの情報をうのみにせず、症状や治療についてわからないこと、不安なことがあれば、担当医や看護師などの医療従事者、または「がん相談支援センター」に相談してください3)

  • 仕事や治療費についての不安がある場合には、社会的支援を頼りましょう

    血液がんとわかってもあせって退職してしまう必要はありません。治療と仕事の両立支援について、病院内の医療相談室(ソーシャルワーカー)や「がん相談支援センター」に相談してみてください。職場の制度を確認しておくことも大切です。治療費については、「高額療養費制度」などの支援があります。申請のタイミングについても事前に確認しておきましょう4,5)

  • 感染予防をして、しっかり食べて、睡眠をとりましょう

    免疫力が低下することがあるため、感染症予防として手洗い、うがい、歯磨きを丁寧に行いましょう。また、これから始まる治療のためにもしっかりと栄養をとり、十分な睡眠をとりましょう2,3)

  • 脱毛対策をしておきましょう

    使用する薬剤の種類や治療法によっては、治療後数週間から脱毛が始まることがあります。入院前に短く切っておく、または剃髪しておくことが理想です。脱毛をカバーするための帽子やバンダナを用意しておくとよいでしょう1,2)

  • 入院する時は以下のような物を用意しましょう2,3)
    • 衣類(洗濯して乾燥機にかけたもの):下着類(3~5組)、寝巻き(前開きのものがよいでしょう。レンタル可能な病院もあります)、パジャマの上に羽織れるもの、スリッパ(室内履きも可)
    • タオル類:バスタオル、フェイスタオル(3~5組)
    • 洗面用品:歯ブラシ、コップ(プラスチック製)、洗顔石鹸
    • 食事用具(曲げられるストロー、使い捨てのスプーンやフォーク)
    • 入浴用品(詰め替えは不可、ポンプタイプのもの)
    • その他:ティッシュペーパー、爪切り、電気カミソリ、生理用品(タンポンは不可)、小銭、お薬手帳、筆記用具、時計 など

血液がんの治療は入院する必要がありますか?

血液がんは薬物療法での治療が基本です。薬物療法には、「化学療法」「分子標的療法」などの種類があり、入院が必要な治療と通院で行える治療があります3,6)

入院が必要な治療:化学療法、造血幹細胞移植(移植前後に薬物療法を行います)
通院で行える治療:分子標的療法、放射線療法 など

血液がんの治療法にはどのようなものがありますか?

化学療法

細胞障害性(殺細胞性)抗がん薬によって、がん細胞の増殖を抑える治療法です。がん細胞だけでなく、正常細胞にも影響を及ぼすことがあります1,2,6)

分子標的療法

がん細胞がもつ特有の分子(タンパク質や酵素)に作用してがん細胞の増殖を抑える治療法です。薬の種類によって、使用可能な病型(タイプ)や条件があります1,2,6)

造血幹細胞移植

自己複製という造血幹細胞の能力に着目し、患者さん自身またはドナー(提供者)の造血幹細胞を移植する治療法です。患者さん自身の造血幹細胞を移植することを「自家移植じかいしょく」、ドナーの造血幹細胞を移植することを「同種移植どうしゅいしょく」といいます1,2,6)

放射線療法

高いエネルギーのX線を体の外から体内のがんのある部位へ照射して、がん細胞の根絶を目指します。血液がんによる症状の緩和目的に使用されることもあります1,2,6)

[参考文献]

  1. 1)伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-70、83-90
  2. 2)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP2-17、27-108
  3. 3)国立がん研究センター がん対策情報センター.患者必携 がんになったら手にとるガイド 普及新版、学研メディカル秀潤社、2017、PP13-94、119-200
  4. 4)厚生労働省.治療と仕事の両立支援ナビ―事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン
    https://chiryoutoshigoto.mhlw.go.jp/guideline/(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  5. 5)国立がん研究センターがん情報サービス.あなたらしい生活を続けるために
    https://ganjoho.jp/public/dia_tre/anatani_shitte_hoshiikoto/05.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  6. 6)神田善伸(監修)、ウルトラ図解 血液がん、法研、2020、PP77-136

2025年3月掲載
JP-VEN-240030-2.0