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  2. 血液がん全般:検査と診断

検査と診断

血液がんではどのような症状があらわれますか?

血液がんは、種類によってあらわれる症状も異なります。初期は自覚症状があらわれない種類もあり、健康診断で偶然見つかることもあります。もし、発熱や疲れが続いたり、原因のわからない体調不良が続いていると思ったら、かかりつけ医を受診してください1-3)

血液がんの主な症状

発熱、感染症

血液がんでは、がん細胞が増殖することで正常な血液細胞の割合が減少します。なかでも白血球の数が減ると病原体への抵抗力が低下し、感染症にかかりやすくなることがあります2-4)
リンパ腫では、発熱のほかに体重が減少したり、大量の寝汗をかくことがあります。

息切れ、疲労、貧血

全身に酸素を運ぶ赤血球の数が減ることで、ちょっとした動作で息切れを起こしたり、疲れやすくなることがあります2,3,5)

リンパ節や臓器の腫れ

がん細胞が臓器やリンパ節に入り込むことで、腫れやしこりができ、圧迫感・痛み・しびれを感じることがあります。また、がん細胞が入り込む臓器によって、頭痛や吐き気、関節の痛みなどさまざまな症状がみられます2,3)
疾患によって異なりますが、主にリンパ節や肝臓、脾臓などで認められます1,3)

出血

血液を固めて止血する役割を持つ血小板の数が減ることで、出血しやすくなることがあります。鼻血、歯ぐきからの出血や、強くぶつけていないのにあざができやすくなることがあります2,3,6)

血液がんはどのように診断されますか?

血液の病気を疑って病院を訪れる人は少ないかもしれませんが、かかりつけ医での問診と血液検査で血液がんが疑われた場合は、血液がん専門の診療科(血液内科)を紹介してもらえます1)
血液内科では、詳細な血液検査、組織検査などによって、病気の種類(病型や病期)を診断(確定診断)します1-3)

主な検査の流れ

1問診

問診では、受診のきっかけ、いつからどのような症状があるか、痛みや自覚症状があるかなどを医師からたずねられます2)
あらかじめメモをしておくと整理して伝えることができるでしょう2)

2血液検査

血液がんでは、赤血球・白血球・血小板の数、白血球の種類別の割合、血液に異常な細胞が出現していないかなどを確認します1-3)
このほかに肝臓や腎臓の機能、感染症に関係する数値なども調べます2,3)

3骨髄検査

血液検査で異常がみられた場合、その原因を探るために骨髄の検査を行います(骨髄穿刺こつずいせんしまたは骨髄生検)1-3)
骨髄穿刺では骨髄に針を刺し、骨髄液を吸引します。骨髄生検では、やや太い針で骨髄組織の一部を採取します1-3)
採取した骨髄液や骨髄組織を用いて、血液細胞の形や性質、異常な細胞(芽球など)の有無などを顕微鏡で調べます2,3)

4リンパ節生検

リンパ節の腫脹がみられた場合、リンパ腫などによるものか、感染症などによるものかを見極めるため、リンパ節の一部を採取して顕微鏡で調べることを、リンパ節生検といいます1-3)。リンパ腫の広がりやがんのタイプを確認する目的としても行います1-3)

5画像検査

必要に応じて超音波検査、CT、MRI、PET-CTなどの画像検査を行います1-3)
リンパ節や肝臓、脾臓に腫れがないか、病気の広がりなどを確認します1-3)

治療方針に関わる検査

細胞表面マーカー検査

血液細胞の表面には抗原という物質が存在します。これを「細胞表面マーカー」といいます7)
形状の似ているリンパ球などもこの細胞表面マーカーによって判別が可能となり、がん細胞がどこから始まったのか、どの病型(がんのタイプ)かを知ることができます7)

染色体検査

ヒトの1つひとつの細胞に存在する46本の染色体(遺伝子情報がつまったDNAが折り畳まれ集まった構造体)に異常があるかを検査します7)
染色体異常の種類によって、血液がんの診断や病型分類を行います7)

遺伝子検査

遺伝子異常を調べることで、血液がんの確定診断やがんの病型(タイプ)の診断、治療法の選択、予後予測などを行うことがあります7)

「病期」と「予後」とはなんですか?

がんの場所や広がり、進行の程度、症状、全身の状態などを踏まえて、がんの状態を示す指標を「病期」といいます。病期を決める要素はがんの種類によって異なりますが、治療方針を決めるうえで病期の確認は重要です。例えば、がんが1ヵ所にとどまっている場合と、複数の場所や広範囲に広がっている場合では治療方法が異なることがあります。また、急性白血病では病期の規定がなく、ただちに治療開始を要するがんもあります1)

病気がどのような経過をたどるかという見通しのことを「予後よご」といいます1)。また、予後という言葉を「生存期間(どれくらい生きられるか)」に限定して使用されることもあります8)。血液がんにはさまざまながんの病型(タイプ)があり、患者さんの年齢や全身状態、臓器機能などによっても予後は異なります。年齢や血液検査の値、病期、患者さんの全身状態など、予後に影響を与える因子をスコア化して、その合計点数によってリスク分けし、予後を予測します。予後予測を踏まえて治療方針を決定することもあります9)

治療や生活について心配なことがある場合、どうすればよいですか?

がんの診断を受けることは衝撃的なことで、不安でいっぱいだと思います。がん患者さんとご家族はさまざまなサポートを受けることができますので、主治医の先生や看護師さんに相談してください。

[参考文献]

  1. 1)伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-70
  2. 2)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP2-17、22-108
  3. 3)神田善伸(監修)、ウルトラ図解 血液がん、法研、2020、PP11-44
  4. 4)国立がん研究センターがん情報サービス.感染しやすい・白血球減少
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/FN/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  5. 5)国立がん研究センターがん情報サービス.貧血
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/anemia/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  6. 6)国立がん研究センターがん情報サービス.出血しやすい・血小板減少
    https://ganjoho.jp/public/support/condition/thrombocytopenia/index.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  7. 7)医療情報科学研究所(編集)、病気がみえる vol.5 血液 第3版、メディックメディア、2023、PP30-33、103
  8. 8)国立国語研究所.「病院の言葉」を分かりやすくする提案―予後
    https://www2.ninjal.ac.jp/byoin/teian/ruikeibetu/teiango/teiango-ruikei-a/yogo.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)
  9. 9)日本血液学会(編集)、造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版)―悪性リンパ腫 総論
    http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/2_soron.html(別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)

2025年3月掲載
JP-VEN-240030-2.0