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血液がんとは

血液がんはどのように発生しますか?

血液は約55%の「血漿」と約45%の「血液細胞」で構成されており、血液細胞は「白血球」「赤血球」「血小板」に分けられます。

血液は、水を主成分とする液体部分「血漿けっしょう」と、赤血球、血小板、白血球からなる「血液細胞」でできていて、その血液細胞は血液の約45%を占めています1-4)
ヒトの体内では細胞が常に分裂と増殖を繰り返していますが1)、「血液がん」は、血液細胞の遺伝子に異常が生じ、細胞の分裂・増殖を正常にコントロールできなくなった細胞(がん細胞)が増殖することで、発生する病気です1,4,5)
血液細胞の遺伝子に異常が生じる原因として、ウイルス感染や細菌感染、加齢、免疫異常などとの関連性が挙げられることもありますが、ほとんどの場合で原因は不明で、「血液がん」は誰もがなりうる病気です1)

細胞に生じる遺伝子異常:がん細胞の発生
正常な血液細胞の遺伝子に異常が生じることで、細胞分裂や増殖をコントロールができなくなるがん細胞になります。

伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-30
神田善伸(監修)、ウルトラ図解 血液がん、法研、2020、PP11-44
永井 正、図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫、法研、2016、PP11-48、153-178より作図

血液細胞はどのようにつくられますか?

血液細胞は骨の中にある骨髄という組織で作られます。骨髄には血液細胞のもととなる造血幹細胞が豊富に存在しています。

血液細胞がつくられることを「造血ぞうけつ」といい、骨の内部にある「骨髄こつずい」という組織で行われます。骨髄には、血液細胞のもととなる「造血幹細胞ぞうけつかんさいぼう」という細胞が豊富に存在していますが1-4)、造血幹細胞は、自分自身を複製する能力(自己複製能力)とさまざまな血液細胞に成長する能力(多分化能力)を持っています1-4)
造血幹細胞は「骨髄系幹細胞」と「リンパ系幹細胞」に分かれ、「分化ぶんか」と「成熟せいじゅく」という成長過程を経て、白血球や赤血球、血小板という血液細胞となって、骨髄から血管へと移動します1-4)

造血幹細胞から血液細胞となるまで
造血幹細胞は分化と成熟という成長過程を経て、さまざまな種類の血液細胞になります。造血幹細胞は骨髄系幹細胞とリンパ系幹細胞のいずれかに分化します。骨髄系幹細胞は赤血球、血小板、そして白血球の一種である顆粒球、単球になります。リンパ系幹細胞は白血球の一種であるリンパ球になります。リンパ球にはT細胞、B細胞、NK細胞という3つの種類があります。

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国立がん研究センターがん情報サービス.
急性骨髄性白血病(https://ganjoho.jp/public/cancer/AML/index.html (別ウィンドウで開く))(2025年2月4日利用)より作図

血液がんにはどのような種類がありますか?

血液がんは、がん細胞になる血液細胞の種類(骨髄系、リンパ系)、分化・成熟の過程のどの段階であるか、発症する身体の部位、進行する速度によって病名がつけられます1-5)
リンパ腫は、白血球の一種であるリンパ球ががん細胞となって増殖し、がん化したリンパ球の種類や成長段階などをもとに分類されます1,2,4)
白血病は造血幹細胞ががん化することで、骨髄のなかで異常な血液細胞が増殖します。増殖する血液細胞の種類によって「骨髄性白血病」「リンパ性白血病」、進行する速度によって「急性白血病」「慢性白血病」に分けられます1-5)
骨髄異形成症候群は、造血幹細胞に異常が起きることで、血液細胞(赤血球、白血球、血小板)の形や機能に異常があらわれます2,4,5)

代表的な血液のがんとその分類
血液がんは、がん細胞になる血液細胞の種類や成長段階などによって病名がつけられます。「白血病」は増殖する血液細胞の種類によって「骨髄性」か「リンパ性」、進行速度によって「急性」か「慢性」に分類されます。「リンパ腫」はがん化したリンパ球の種類、成熟段階などにより分類されます。

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伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-30
神田善伸(監修)、ウルトラ図解 血液がん、法研、2020、PP11-44
永井 正、図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫、法研、2016、PP11-48、153-178より作図

リンパ腫とリンパ性白血病に違いはありますか?

「リンパ性白血病」と「リンパ腫」はいずれもリンパ球ががん化しますが、がん細胞が増殖する場所が異なります。リンパ性白血病は主に血液や骨髄でがん細胞が増殖し、リンパ腫はリンパ組織・臓器などでがん細胞が増殖することで腫瘤と呼ばれるかたまりを形成します。

リンパ系の血液がんでは、いずれもリンパ球(B細胞、T細胞、NK細胞)に生じた遺伝子の異常によって、がん化したリンパ球(リンパ腫細胞)が増殖します。
リンパ腫は、がん細胞がリンパ節などのリンパ組織、皮膚や胃腸などで増殖し、かたまり(腫瘤しゅりゅう)などの病変を形成します1,6)
一方、リンパ性白血病は増殖したがん細胞が主に血液や骨髄の中にあり、腫瘤を形成することはまれです2,4,5,6)

[参考文献]

  1. 1)伊豆津宏二(監修)、血液のがんがわかる本 リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、講談社、2023、PP9-30
  2. 2)木崎昌弘(監修)、血液のがん 悪性リンパ腫・白血病・多発性骨髄腫、主婦の友社、2020、PP22-108
  3. 3)宮崎 仁、もっと知りたい 白血病治療 第2版、医学書院、2019、PP2-28
  4. 4)神田善伸(監修)、ウルトラ図解 血液がん、法研、2020、PP11-44
  5. 5)永井 正、図解でわかる 白血病・悪性リンパ腫・多発性骨髄腫、法研、2016、PP11-48、98-109、153-178
  6. 6)医療情報科学研究所(編集)、病気がみえる vol.5 血液 第3版、メディックメディア、2023、PP118-125、192-207

2025年3月掲載
JP-VEN-240030-2.0